住宅をエレメントから考える(後編)
間仕切りのイメージ
塩崎太伸(建築家)
『新建築住宅特集』2016年4月号 掲載
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主室の周りに間仕切りなく諸室が配され、開け放たれた空間の中で生活やものが溢れて、家族間の適度な距離をつくり出す。
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すべてガラス張りの室内は間仕切りがなく、床が半階ずつずれて配置される。外周はスラブの延長である庇のみが外部との緩衝となる。
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ガラス張りのワンルームの中央に、カーテンに囲まれたリビングがある。ガラス越しにテラス、庭、敷地外とレイヤー状の空間が広がっていく。
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外との境界は透明アクリル。エキスパンドメタルや床の掘り込みが外との間仕切りの代わりをする。
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L字の壁を外に開くように回転させながら積み上げ、外部の住宅地の風景を建物内に取り込む。
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建具を開放するとバルコニーが室内と連続。高床によって室内からは公園の緑が切り取られる。中庭は空も建物の一部のように引き込む。
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2階にある計24枚の木製ガラス引き戸をすべて開くと、周囲に取り付くスチール製エキスパンドメタル張りのベランダへと開放される。
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北側に向かって下がる屋根をもつLDKは約5mの幅が全開になる開口によって、室内と大きい縁側とが連結する。
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間口8.4m、奥行き7.7m、高さ5.1?6.5mのボックスの南面が全面開口となることで、大きなワンルーム空間は外部に向かって開いている。
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住宅に加え、スタジオやアトリエなどを併設。それぞれの機能を収めた箱が仕上げを変えてずらすように配置されその間の余白に大きく開く。余白空間はパブリックな空間。
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接道2面が開放的な建物の外周をテント地のカーテンで覆い、カーテンを可変させ視線、光、熱をコントロールしながら都市に開いて暮らす。
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地面から2mに満たない高さの1階の外周はすべてガラス戸で囲われ、外に向かって全面開く。テラスと軒が周囲に張り出し、リビングダイニングが周囲の自然環境と応答する。
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4面が眺望とプライバシーを調整するルーバーで覆われ、室内の場所に応じて開閉が可能。可動部は角度も調整でき、室内にさまざまな眺めをつくる。
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小さな平面のリビングに設けられた壁のような大きな開き戸を開けると、光と風が抜け、住宅と街との距離が近づく。
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ポリカーボネート波板によって囲まれた回廊へ連続折戸や可動ルーバーの開閉によって部屋が伸び縮みする。
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大通りに面した1階に大きくとられた開口は都市の景色を積極的に室内の奥まで引き込んで、都市と住居の境を曖昧にする。
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道路と敷地、住宅の内外の境界がずれて、内部にまで道路が入り込んでいるような不思議な境界を塀のような間仕切りでつくり出す。
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4面が眺望とプライバシーを調整するルーバーで覆われ、室内の場所に応じて開閉が可能。可動部は角度も調整でき、室内にさまざまな眺めをつくる。
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下界は鋼製の折れ戸、上階は前面ガラスの壁と屋根により外部を引き込み、内部ではルーバーによって視線が貫通する。
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道路側に設けられた各階テラス全面に木製の可動折れ戸が付き、住宅感を消す。折れ戸の開閉により下層部の事務所は街に大きく開く。
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「庭部屋」と呼ばれる吹抜け空間とLDKの引き戸により、外部が内部まで引き込まれたような、内外の分節が曖昧な空間ができている。
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4枚の壁とガラス屋根だけでできた建築。内部の真砂土で敷き固められた地形が、フルハイトのガラス開口越しに外部と連続する。
建具は閉たてる道具が語義とされ、ある世界を分節して領域を囲いとることが目的となる。だから西洋世界でそうであったうに堅牢な壁やドアで固く閉ざすことが一般的にはプライバシーを保つことであると今でも信じてしまいがちだ。しかしながら興味深いのは日本においては、むしろ逆に開け放つことこそプライバシーを保つことであった。「人払い」といって建具を開け放ち見渡せる範囲に安全が確保され見通せることが重要だったのだ。住まいを開いて都市とともに生きる方法を模索する時、私たちはそういう感覚を取り戻してきた気がする。
背景:「ひろばの角のバルコニーハウス」手塚貴晴+手塚由比
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公開日:2016年08月31日